薔薇族でゲイ小説を執筆した思い出


みなさん、こんにちは。

今日は薔薇族というゲイ雑誌に僕がゲイ小説を投稿していた時の思い出を少し。

若い方は薔薇族というゲイ雑誌が存在したということ自体、知らないのかもしれませんね。

僕も薔薇族の歴史についてはよく知らないのですが、同人誌的に始めて徐々に読者を増やしたそうです。三島由紀夫がペンネームを変えて地下ポルノを投稿していたという噂も聞きましたので、結構、古い雑誌です。

僕が処女作「真夜中の雨」を執筆、投稿したのが確か1994年で、掲載されたのが1995年です。

考えてみると、もう30年前…。

薔薇族の「投稿募集」の広告を見て、「よしそうだ! ゲイ小説を書いてみよう!」と思って試行錯誤しながら書いた「真夜中の雨」。

まさか掲載されることはないだろうと思ってワープロ紙原稿を送りました。あの頃は感熱紙という紙を使っていましたね。

数ヶ月後、当時勤めていた会社の借り上げ寮のポストに分厚い封筒が届きました。

「まさか?」と思って封を開けたら、当時「お弁当箱みたいな雑誌」と出版業界で有名だった薔薇族が届き、はやる気持ちを抑えながらページをめくってみたら、僕が書いた「真夜中の雨」が掲載されていました。

なんと、小説の見開きページのイラストは、当時業界で「画伯」と呼ばれていた故・長谷川サダオさんでした。

長谷川サダオさんは海外でも個展をしているような方でしたので、当然、小説の中では「真夜中の雨」がメインディッシュ扱い。なんだと勝手に思ってます(笑)

本当に、驚きました。

長谷川さんの画風は今時のものとはちがって、デジタル機器を使っていないだろうにとても緻密なものです。現代にはそぐわないかもしれませんが。とにかく昭和な感じ。

長谷川さんの画集がのちに出版されたので購入したところ、「真夜中の雨」につけられていたイラストがデカデカと収録されていました。今でも画集は大切にしています。

僕が薔薇族に送ったゲイ小説には、長谷川さんがお亡くなりになるまで、長谷川さんのイラストが付けられていました。「雨の牙」だけ、三上風太さんでした。

小説が掲載されてしばらくして、編集部から電話があって、原稿料を振り込みたいので銀行口座を教えて欲しいとの連絡があり、今ではなくなった第一勧業銀行の口座をお知らせしました。

薔薇族は当時、月に3万部売れていたと言いますから、今の文芸誌に小説が掲載されるよりも、もしかしたら多くの方に読まれたのかもしれませんね…。

僕は薔薇族掲載作品集とBadi掲載作品集を紙書籍にしているのですが、雑誌の知名度からか、エロ要素からかはわかりませんが、薔薇族掲載作品集の方が、正直売れています。ポツポツ、ですが。

ただ、雑誌掲載作品というのは、エロ要素だけが濃厚なものよりも、全体のストーリー性とかクオリティが高くないと掲載されないのかな、という印象でしたね。文章力なども含めて。

別のゲイ雑誌の編集者さんが言ってましたけど、「とにかくメチャクチャなものが大量に送られてくる」とうことで、フィルタリングが大変だということでした。

ぜひ薔薇族掲載作品集をご購入いただきたいのですが、ただ抜くためのオカズ、ということであれば、ネットで活動されてる方のほうが正直エロいように思います。

雨の牙 – 薔薇族掲載作品集

白井俊介、広岡智のペンネームで掲載された薔薇族掲載ゲイ小説集。恋人の友人に無理やり犯されて三角関係に陥る葛藤を描いた「真夜中の雨」、同級生への切ない片想いを描いた学園もの「卒業旅行」、イタリアのカンツォーネの曲を題材に描いたロマンティックで切ない若者同士の恋愛「ほほにかかる涙」、ホワイトカラーの主人公と、肉体労働者の同棲生活を描いた悲劇「雨の牙」を収録しています。95年から00年にかけて掲載された作品集なので、時代はかなり古いです。

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