薔薇族掲載作「雨の牙」への想い


皆さん、こんにちは。

このブログについては、白井俊介というペンネームを使っていたので、白井俊介として書きます。

僕は97年ごろだったか、薔薇族というゲイ雑誌に「雨の牙」というゲイ小説を送りました。

掲載までに2年がかかりましたが、編集部の方がずっとタイミングを見計らってスケジュールを組んでくださった大切な作品です。

掲載の直前に、「やっと掲載の運びとなりました」といった趣旨のお電話をいただきました。

こちらの作品、出会った当初はラブラブだった主人公たちが、後半から竜二の持病のために苦しんでゆくという内容になっています。

この作品に込めた想いは、僕の実際の体験を少し滲ませたものになります。

とても才能のある建築士でありながら、アルコール依存気味だった父への想い、そしてそれを懸命に支えていた僕の母と子供時代の僕。

実体験を織り交ぜながら描いた迫真の作品だと自負しております。

しかし、結末は救いようのない悲劇に終わります。とても悲しい結末です。

読者から「哀しかったです」と一言だけ書かれた感想が薔薇族に寄せられたのが薔薇族の読者感想欄に掲載されていたのを見た時、僕自身、とても複雑な気持ちになりました。

しかし、僕自身はこの作品を「書くべきではなかった」と思ったことは一度もありませんし、この作品は今でも僕のゲイ小説の中で代表作といえます。

原稿用紙に換算して100枚くらいの長編で、薔薇族が二ヶ月に渡って前編・後編編成で掲載してくれました。

薔薇族の他の作家さんの小説群に比べても、異彩を放つほど悲しい物語です。

正直、僕はこの作品への悪い評価にいつも怯えています。

みんな、もっと娯楽性に富んだゲイ小説を求めているのではないか、エロくてハッピーエンドのものを求めているのではないか、そう思っています。

ですが、この作品を書くときは必死でした。とにかく書き上げなければならないと、ある種の使命感に突き上げられていました。

こういった作品を書けて、自己満足にすぎないのかもしれないですが、よかったと思います。

僕が大変、誇りに思っている作品です。

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雨の牙 – 薔薇族掲載作品集

白井俊介、広岡智のペンネームで掲載された薔薇族掲載ゲイ小説集。恋人の友人に無理やり犯されて三角関係に陥る葛藤を描いた「真夜中の雨」、同級生への切ない片想いを描いた学園もの「卒業旅行」、イタリアのカンツォーネの曲を題材に描いたロマンティックで切ない若者同士の恋愛「ほほにかかる涙」、ホワイトカラーの主人公と、肉体労働者の同棲生活を描いた悲劇「雨の牙」を収録しています。95年から00年にかけて掲載された作品集なので、時代はかなり古いです。

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