Badiというゲイ雑誌でゲイ小説を執筆していた思い出


皆さん、こんにちは。ブログではRyu爺と名乗っております。

僕はタテイシユウスケというペンネームでBadiというゲイ雑誌でゲイ小説を執筆していました。

2000年から2001年くらいまでの短い間でしたが、色々な思い出があります。

最初に投稿したゲイ小説は「調香師」でした。当時、薔薇族の存続が危うくなって来ていたので、作風を変えて別のペンネームでBadi小説大賞に応募してみようと思ったのです。

薔薇族ではストーリーとエロ重視でしたので、Badiでは文章で感じさせるトーンの低いゲイ小説を執筆してみようと思いました。

心境の変化は、僕がジムで走り始め、何か体の中で変化が起こったように思います。走った後の倦怠感の中で、ダークトーンのストーリが浮かぶようになりました。

「調香師」は斬新さから編集部に絶賛され、Badi小説大賞の候補としてノミネートされました。

続く「みずぎわ」が編集責任者の圧倒的支持を得てまたBadi小説大賞の候補に。

しかし、想定外のことが…。

こちらの作品「みずぎわ」は小説作品としてのクオリティは高いのですが、性描写も希薄で後味が悪く、また僕としては三角関係の揺れる心情を描きたかったのですが、それが婉曲的だったため、読者から「わかりにくい」との批判を浴びました。

編集責任者だった方はバディ小説大賞の本命だと思ってくださったのですが、読者からのリアクションが悪かったため、その年は大賞なしで「みずぎわ」が特別賞という扱いになってしまいました…。

それから僕はBadiでのキャリアを挽回するためにわかりやすいものを書くようにしたり、他の人にはできない実験をするようになりました。

Badiという雑誌は、編集責任者の方がゲイポルノよりも新時代のゲイノベルを世に送りたいという思いがあったらしく、送ったものはすべて採用していただきました。

しかし、やはりエロを求めている読者もいるらしく、遠回しに「もう少しエロいのを書いて欲しい」と編集部から言われるようになりました。

僕自身はエロいものも好きなのですが、エロいものは市場に多く出回っているのも事実だし、エロいのなら他の作家さんたちが多く書いているので、僕にしかできないことがやりたいと思うようになり、「ストローク」を最後にBadiから離れ、オンラインで活動する決意をしました。

ここからはBadiの思い出ではなく、オンライン作家「タテイシユウスケ」の思い出になりますが、オンラインで活動するうちに、意外なことが起こりました。

僕の作品は、それまでBL小説を読んだことがない女性や、ノンケ男性に読まれ、中には通販でBadiのバックナンバーをすべて取り寄せてくださる方、地方から東京のゲイショップまで出向いてバックナンバーを買ってくださる方が出て来たのです。

メールが来るのもほとんどは女性。

発行した同人誌を申し込むのもすべて女性でした。

そんなわけで、Badi掲載作品集についてはゲイ男性向けではないかもしれません。

紙書籍をオンデマンド出版しいているので、ご購入いただきたいのは山々ですが、とにかく性描写が婉曲的で、切ないものが多く、当時Badiというゲイ雑誌が目指していたゲイノベルであったことは、ご理解ください。

ではよろしくお願いしますね!

調香師 – Badi掲載作品集

Badi時代の筆名タテイシユウスケ小説集。2000年から2001年にゲイ雑誌Badiに掲載された5つの短編を1冊の紙書籍にまとめました。香りを創作する職業・調香師と派遣社員の恋愛「調香師」、第9回Badi小説大賞特別賞を受賞した三人の男の揺れる心情をカタストロフィックに描いた「みずぎわ」、優しい夏むけの恋愛小説「すきとおる。」、夜をあきらめられない男たちの悲哀を描いた「ドーン・ブレイク・タンゴ」、ひなびた田舎町での透明感あふれる恋愛物語「ストローク」を収録しています。性描写は希薄で、淡々と綴られる当時の文体が特徴的です。

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