みなさん、こんにちは。
1994年に僕は初めてのゲイ小説「真夜中の雨」を執筆しました。その時の思い出をお話ししますね。
当時僕は24歳で、東京で会社員をやっていました。
薔薇族というゲイ雑誌を時々購入していたのですが、そこに投稿小説募集の広告があったので、よし、やってみようと。
それで試行錯誤させながら手こずって書いた思い出があります。
最初の作品ですから、幸い、ストーリーはふとしたきっかけで生まれたのですが、どう書いていいやらわからなかったんです。
雑誌掲載作にしてもらうためには、短すぎてもダメだし、長すぎてもダメだろうと思い、出だしをまず手短にしました。
それから、ワープロを使って書いていたのですが、原稿用紙が何枚進むごとに、「そろそろ性描写入れなきゃ読んでもらえない」というプレッシャーを感じ、大体、計算しながら何枚ごとに性描写、というふうに書きました。
とにかく、ストーリーを進めながら性描写を入れていくことに苦労させられた思い出があります。
掲載してもらえるかどうかわからないものに挑戦するわけですから、この苦労を無駄にしたくない、と思い、何度も読み返しながら書きました。
僕の場合は、最初にプロットは作成せず、思うままに浮かんだことを、性描写を交えながら書いた感じです。
三角関係で、レイプシーンを入れようと思いました。
僕は「真夜中の雨」というタイトルにしましたが、薔薇族ではデカデカと「略奪」だったか、そんなサブタイトルを入れられて、ちょっとショックでしたね(笑)
他のブログでお話ししましたが、イラストは故・長谷川サダオさんで、掲載されたときに雑誌とテレカが送られてきました。
若い方はテレカなんて見たことないかもしれませんが、公衆電話を使うときのカードです。
白い六尺褌を締めた、引き締まった体のハンサムな男性が海岸に寝そべっている写真で、すごく興奮しました。
ついこの前まであったのですが、さっき探したらどこにしまったかわからなくなってしまいました(汗)
もちろん、原稿料もいただいたのですが、電子書籍の売り上げに比べるとかなりいいです。でも、これで生活していくのは無理だな、と現実がわかったので、会社に勤めながら小説を書く道を歩みました。大抵のゲイ小説家はそうらしいですね。
この作品への想いは、苦労させられた思い出と、若い頃は自分も情熱的で、タテイシユウスケ時代になんだかはすに構えた感じではなく、率直だったなあと思います。
ひたむきでしたね、あの頃は特に。
今までずっと、ひたむきな気持ちでゲイ小説を書いてきましたが、処女作については特にそう思います。
ただ、出来については最初なので不慣れだったかなあ、と自分の中では微妙な感情を持っている作品です。
忘れられない作品でもありますが。
雨の牙 – 薔薇族掲載作品集
白井俊介、広岡智のペンネームで掲載された薔薇族掲載ゲイ小説集。恋人の友人に無理やり犯されて三角関係に陥る葛藤を描いた「真夜中の雨」、同級生への切ない片想いを描いた学園もの「卒業旅行」、イタリアのカンツォーネの曲を題材に描いたロマンティックで切ない若者同士の恋愛「ほほにかかる涙」、ホワイトカラーの主人公と、肉体労働者の同棲生活を描いた悲劇「雨の牙」を収録しています。95年から00年にかけて掲載された作品集なので、時代はかなり古いです。
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